DROBEプロダクト開発ブログ

DROBEのプロダクト開発周辺の知見や考え方の共有をしていきます

DROBE開発組織のキャリアパスや評価方針について

こんにちは、EMの加川(@shinpr_p)です。
今回は、DROBE開発組織におけるエンジニア職のキャリアパス定義、評価の方針やプロセスについてお伝えします。

個人が目指したいキャリアと会社の方針のマッチ度が高ければ、効率的なキャリアアップを実現できる可能性が高まります。
会社ごとに評価方針は異なります。そこで、DROBEの開発組織としての考え方を明らかにし、ご自身のイメージするキャリアとフィットするか判断可能な状態を作りたいと考えました。

今後アップデートされる可能性はありますが、現時点での定義をお伝えしていきます。
ご自身のキャリアイメージと照らし合わせ本記事を参照いただけると幸いです。

評価方針とエンジニアとしての「能力」の定義

エンジニアの評価について、基本的には「能力」を評価するようにしています。フェーズが進みRACIでいう説明責任(Accountability)1を果たすことが期待されることで「成果」での評価に軸足が移るという設計にしています。

能力の定義

現時点で組織規模も大きくなく評価者(EMおよびCTO)も少数であるため、厳密な定義をすることによる運用コストはリターンに見合わないと考えています。
そのため、「xxxという技術要素を活用し、xxxが出来る」というような定義はしておらず、「自身の職能の専門性をもって制御可能な影響範囲の広さ」を能力として定義しています。

フェーズの定義

フェーズごとに期待する振る舞いと、能力を発揮してほしい影響範囲を定義しています。
フェーズが変わるごとに影響範囲が広がりつつ、説明責任が求められていきます。
表で示すと以下のようになります。

フェーズ 期待する振る舞い 能力を発揮してほしい影響範囲
初期 自身の職能の範囲で、与えられたタスクを自己完結できる 自身、1Sprint
チーム・プロダクト・システムの改善を通してユーザに価値を届けることができる
自身の職能の範囲でRACIでいう実行責任(Responsibility)を持ち、特定テーマの開発ができる
チーム、1ヶ月
中期 プロダクト・システムの改善を通してユーザに価値を届けることに実行責任を持って開発できる
自身の職能の範囲で継続的な技術品質の改善ができる
チーム、四半期
プロダクト・システムの改善を通してユーザに継続的に価値を届けるチームを主導できる
自身の職能の範囲で継続的な技術品質の改善を計画し、遂行の説明責任を果たせる
事業全体、1年
後期 チーム・プロダクト・システムが継続的に改善されることに説明責任を果たせる
自身の職能の範囲でこれまでにない価値を創出する計画を立て、遂行の説明責任を果たせる
会社・業界、3年2

※ マネジメントはフェーズごとに期待される振る舞いを実現できる組織をつくることが責務になる

キャリアパスの定義

SWE(Software Engineer)に関して、基本となるキャリアパスを下記のとおり定義しています。
基本形はこの定義としつつ、分岐するフェーズの前後においては「自身のキャリアイメージと擦り合うか」を話し合います。
「定義以外のキャリアパスを一切許容しない」のではなく、「定義と一致するか、一致しない場合どういった乖離があるかが可視化され、議論できる」ことを大切にします。
もちろん基本形から大幅な乖離がある場合に希望を完全に叶えることはできません。そういった場合でも基準となる定義があることで議論の空中戦を避けることができると考えています。

SWEのキャリアパス

各キャリアパスの期待値

マネジメント

  • 組織の構造にアプローチし、組織の開発生産性を最大化させることに責任を持つ
  • 組織図上のマネージャの責務を担い、ピープルマネジメント(含む人事評価)の責任が生じる

スペシャリスト

プロダクト・システムの改善を通して、ユーザに継続的に価値を届けることに責任を持つ

エキスパート

新たな技術価値の創出を通して、会社の成長や業界の発展に貢献することに責任を持つ

キャリアパス上で定義している「ラベル」への期待値の定義

「ラベル」とは、「定義された責務を担うことができる能力を有している個人に付与される役割」です。能力を満たしていると評価された時点から、個人に付与されます。
現時点で言語化済みのラベルについて、下記にまとめました。

👩‍💻LeadEngineer

ビジネスドメインの技術リーダーとして、チームがユーザに継続的に価値を届けることに実行責任を負う

must

  • PdMと協力し、プロダクト品質を最大化できる開発チームを作ることに実行責任を負う
  • チームが取り扱うシステムの技術品質が維持されることに説明責任を負う

nice to have

  • EMと協力し、チームに所属する開発者の技術スキルを継続的に向上させる

👩‍💻TechLead

特定技術領域のリーダーとして、技術品質が継続的に向上することに説明責任を負う

must

  • 特定技術領域の技術品質が継続的に向上することに説明責任を負う
    • 技術品質の基準を定め、基準を下回らないような仕組み・文化をつくる
    • 技術品質を向上させるための計画立案と施策の遂行
  • LeadEngineerと協力し、開発チームの開発者が特定技術領域の技術を活用できるようにすることに実行責任を負う
  • 必要に応じて、技術的難易度の高いタスクの実行責任を負う

nice to have

  • 会社の技術プレゼンス向上を支援する

👩‍💻Engineering Manager

サーバントリーダーとして、開発組織の生産性を最大化させることに実行責任を負う

must

  • 自身の責任範囲の中で、開発組織の生産性が継続的に向上することに説明責任を負う
  • 自身の責任範囲の中で、開発者が成長することに説明責任を負う
  • 事業計画を実現するために必要な技術のケイパビリティを組織が備えることに実行責任を負う
  • 開発組織が継続的に学び、成長する文化を醸成させることに実行責任を負う

補足

Engineering Manager(EM)に至るステップとしてScrum Master(SM)、Associate EMを定義し、それぞれEMが持つ責任や範囲を限定することで地続きなキャリアパスを実現する

Scrum Masterが持つ責任

  • 自身の責任範囲の中で、スクラムチームの生産性が継続的に向上することに実行責任を負う
  • 開発組織が継続的に学び、成長する文化を醸成させることに実行責任を負う

Associate EMが持つ責任

  • 自身の責任範囲の中で、開発組織の生産性が継続的に向上することに実行責任を負う
  • 事業計画を実現するために必要な技術のケイパビリティを組織が備えることに実行責任を負う
  • 開発組織が継続的に学び、成長する文化を醸成させることに実行責任を負う

評価プロセスについて

目標設定、評価は半期のリズムで実施しています。 - 期初に組織図上のマネージャと目標設定を行う - 少なくとも四半期に一度中間振り返り面談を実施する - 期末に振り返り面談を実施、経営陣+HRでのキャリブレーションを経て評価が確定する

個人目標に加え、3つのバリュー(Ownership、Open、Leverage)に対するアクションプランを設定します。

個人目標とチーム目標の繋がり

個人目標の方向性を把握している組織図上のマネージャが、PO3が四半期ごとに定義するProduct Goalの中で個人目標に関する活動が実現可能か議論します。
議論の結果、実施できない個人目標に関する活動があった場合は、マネージャが説明責任を果たし、メンバーとの目標設定に臨みます。

さいごに

以上が、DROBE開発組織におけるエンジニア職のキャリアパス定義、評価の方針やプロセスです。
定義を言語化し運用を始めたフェーズのため今後改良されていく可能性はありますが、考え方はお伝えできたのではないかと考えています。

もし文章ではわからないことなどあれば直接ご質問も受けられますので、その際は下記フォームからご連絡ください。

youtrust.jp


  1. 説明責任(Accountability)、実行責任(Responsibility)の定義はこちらを参照ください
  2. Product Visionが3年後を見据えた定義になっているため、現時点でのスコープ上限は3年で設定されています
  3. 現在開発チームは1つしかないため、チームのビジネス成果の説明責任者はPOとなっています

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